会社を退職して労働安全コンサルタントを開業していた時の話を少しします。ハザードもリスクも日本語に訳すと危険という意味になりますが、内容は少し異なります。ハザードとは「危険の発生源そのもの」のことであり、リスクとは「その程度」を言います。また同じハザードでもリスクの程度はその人の年齢、性別、体力、経験値、また発生する場所や季節、環境の違いや遭遇する頻度などで違ってきます。ハザードには単に起きる事象だけでなく、その後関連して起きる様々な事象による損害の「大きさ」にも注目する必要があります(例えばコロナウイルスによる経済的な損失など)。言い換えれば「災害やマイナスな影響を生む可能性がある現存するもの」とも言えます。ハザードには3つの要素があります。「存在すること」「障害となる性質」そしてその「大きさ」です。ハザードの存在が最も顕著に現れるのは自然災害ですが、自然災害は多くの場合、人の力ではどうすることもできないハザードになります。一方リスクとは「危険の程度」のことであり、どのくらい危険なのか、どこが危険なのか、どこで危険なのか、いつ危険なのか、誰に対して危険なのかなどその程度は状態や、発生頻度、受ける側によって一定でありません。仮にそのハザードが小さくても発生する頻度が多い場合や発生する頻度は少ないけれど与える被害が大きい場合(例えば福島原子力発電所の事故など)は特に注意が必要です。ただ人工的に造られた安全を確保するための装置や設備または人的な訓練などでその被害はある程度は低減できると思います。ハザードのもつリスクを評価することをリスクアセスメント(評価)といいますが我々を取り巻く環境はますます複雑になりつつあります。リスク管理の弱いこの国が今回流行したコロナウイルスのような自然災害的なものからお騒がせの北朝鮮のミサイルや核兵器など、それらハザードの持つリスクをどう評価し優先順位をつけ低減除去していけるかが問題になると思います。
閑話休題。今年で6回目になりますが毎年西表島に行っています。世界自然遺産に認定され絶滅危惧種のイリオモテ山猫の生息するこの島に6月末から7月にかけて「下がり花」という花が夜明け前に1日だけ咲きます。朝早く起きてカヌーでマングローブの河をあがっていくと水面に可憐な花が落ちてとてもきれいです。あとはジャングルをトリッキングして滝に打たれシュノーケリングでウミガメを追っかけ、プライベートビーチでバーべキュウ、夜は星のカーテンが水平線につながるのを眺め、もし運がよかったら水面に漂う夜光虫の光の群れもご覧になれます。もし静止した時間を堪能したければ是非一度行かれてはと思います。ただ温暖化の関係でサンゴが白化現象を起こし毎年死んでいくのが残念でなりません。
3年前より水彩画教室に通っています。60の手習いでなかなかうまくなりませんが、同じクラスの方でギリシャ系の船舶関係のコンサルタントの仕事をしておられた方がいらしていつも放課後赤のれんで話をして頂くのが楽しみです。その方は御年89歳になられたのですが矍鑠(かくしゃく)としていらしてまあ凄い。B29やGHQ話などのいろんなジャンルで博識でいらしていつも感心します。また水彩画を描くような細かい作業はボケ防止には良いらしいのでしばらく続けてみようと思っています。
最後に「利己的な遺伝子」の著書で有名なリチャードドーキンス博士の言葉に「人間は遺伝子を運ぶヴィークル(乗り物)に過ぎない」とあります。「事業を通じて人を育てる」とあるように企業に係る人は切磋琢磨しながらいろんなものを残します。時には船底には張り付いた牡蠣のよういらないものは除去する必要がありますが、私は是非とも良質な企業文化を残して頂きたいと常々願っています。
©DaiwaLease OBOG Association. All Rights Reserved.